timberize tokyo exhibition−「都市の木造建築展」作品解説の第6弾。
"Helix"についてです。(担当/樫本恒平)
Helix 曲げ木技術を応用した二重螺旋構造


直径21m、高さ30m、円筒形状6階建てのテナントビルの計画です。 中心には螺旋階段とパイプスペースがありますが、エレベーター・階段・トイレなどの主な垂直動線と基本機能は、隣接する別棟に含まれています。
一階から屋上階に向かって円柱の表面を90度回転するように伸びる螺旋形の木質構造部材が、内側と外側に12本ずつ。 内と外で螺旋の向きは逆回転になっているため網目状に交錯し、それらの交点で各階の床を支えるという考え方です。 ダブルヘリックス(二重螺旋)に編まれた木質構造部材が外周部分をガッチリと固めるチューブ構造になっています。
<大根の桂剥き>と<ミルフィーユ>、あるいは<LVL>
建築の作り方と料理の作り方は似ています。 材料を切ったり煮たり焼いたりして加工した後、それらを盛り付けて、出来上がります。
この計画では、まず「木」という円柱状の素材を、大根の桂剥き(かつらむき)のように、回転させながら薄い板を削りだし、ペラペラの紙のような面材を作ります。 そして、パイ生地とクリームが何層にも交互に重なっている「ミルフィーユ」のように、木の薄い面材と接着剤を順番に重ねて、部材を作ります。
LVL(LaminatedVeneer Lumber: 単板積層材)と呼ばれるこの材料は、その作り方から考えると、平面形状だけではなく、曲面形状も容易に作ることが期待できます。 この「曲面LVL」を使って、何か新しい建築を提案できないだろうか?というのが、この案のテーマです。

展覧会会場に展示している1/50の模型の螺旋状の部材は、この実物のLVLの作り方に出来るだけ近づけようと思い、型枠を製作したて、そこに0.5mmの厚みのバルサや杉板を一枚一枚木工用ボンドで接着し14枚重ねて製作したものです。
ひょっとすると、近づいて見ると、一枚一枚の間には少し隙間が見えるところがあるかも知れませんが、そこは御愛嬌ということで。
全体としては、木材の繊維方向から、建築構造の力の流れを感じ取って頂ければと思います。
Helix

建築:樫本恒平 (樫本恒平事務所)
構造:佐藤孝浩

